《スクワット》膝が内に入る「ニーイン」の原因と正しいフォームを現役プロトレーナーが解説!
今回の記事では、下半身のトレーニング種目の王道種目「スクワット」で膝が内側に入ってしまう
原因について解説したいと思います。
膝が内側に入ってしまう場合のほとんどが筋力や柔軟性などの機能面が不足していることが原因で起こります。
つまり、何かしら根本的な原因があって起こるエラー動作ということ。
スクワットで膝が内側に入る主な原因と改善方法を詳しくお伝えします。
スクワットで「膝に違和感がある人」「膝が内側に入ってしまう人」「正しいフォームがわからない人」は、是非ひとつの参考にしてみてください!
》スクワットで「膝が内側に入る」デメリット
スクワットで膝が内側に入ると、一部の靭帯や腱、半月板などの組織にストレスがかかってしまいます。内側には、組織が伸ばされるストレスが、外側には、組織が圧縮されるようなストレスが加わってしまいます。
そのような膝に対するストレスがスクワットなどの動きの中で何度も繰り返されることで膝が負傷(ケガ)してしまいます。
》 スクワットで「膝が内側に入る」主な原因
スクワットで膝が内側に入る(ニーイン)原因は、以下のようなことが挙げられます。
・お尻の筋肉(臀筋群)が弱い
・股関節/骨盤の可動性(柔軟性)が低い
・足関節(足首)の可動性(柔軟性)が低い
・X脚(膝外反)になっている
・土踏まずが潰れている(扁平足)
・フォームが間違っている
それぞれの原因について詳しく解説していきます。
》 ①お尻の筋肉(臀筋群)が弱い
お尻の筋肉には、身体の中でも1〜2番目に大きな面積とされる大殿筋をはじめ、中殿筋という筋肉が身体の表面近くについています。
より中の方(深層)には、小殿筋や深層外旋六筋という筋肉もついています。
足を外に捻る動きで活動すべき筋肉の活動が弱くなってしまうと、スクワットの動きの中で膝が内側に入りやすくなってしまいます。
お尻の筋肉(臀筋群)の活動が弱くなってしまって、膝が内側に入っている場合には、スクワットの前に臀筋群の活動を活性化(お尻の筋肉にスイッチを入れる)させるトレーニングやエクササイズを入れると効果的です。
お尻の筋肉にスイッチを入れるトレーニング①
お尻の筋肉にスイッチを入れるトレーニング②
》 ②股関節/骨盤の可動性(柔軟性)が低い
股関節・骨盤の柔軟性が不足していて関節の動きが悪くなると、その代償として膝は内側に入りやすくなります。
股関節を曲げる動きには、お尻の筋肉(殿筋群)や太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)などの柔軟性が必要です。
これらの筋肉の柔軟性が低い場合、股関節を曲げる動きが制限されて、深くしゃがみにくくなり膝が内側に入ってしまいます。
一番下・深い位置までしゃがむフルスクワットでは、ほぼ最大域の曲げる動きが必要です。パーシャルスクワットやハーフスクワットでは、求められる角度は浅くなります。
股関節の動きが悪くなって膝が内側に入っている(ニーイン)場合には、大臀筋や中臀筋、ハムストリングスなどの後方組織を柔らかくするストレッチやモビリティエクササイズを実施してみて下さい。
お尻の筋肉を柔らかくするストレッチ①
太ももの裏側の筋肉を柔らかくするストレッチ②
》③足関節(足首)の可動性(柔軟性)が低い
足関節の柔軟性が不足していて関節の動きが悪くなることも、膝が内側に入りやすくなる一つの原因です。
足関節の曲げる動きが悪くなってしまう原因としては、下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋肉が硬くなること、骨の動きの問題(距骨の滑り・転がりが悪くなっている)が多いです。
故にスクワットの動きでは、股関節も足関節も「曲げる動き」が極めて重要な要素となってきます。下半身の3つの主要な関節(股関節・ひざ関節・足関節)を同時に曲げる動きをトリプルフレクションと言います。
足関節の動きを柔らかくするストレッチ
》 ④X脚(膝外反)になっている
X脚は、元々の立ち姿勢で膝が内側に入っている状態のことです。足全体の見た目が「X」のように見えることからX脚と言われています。内股姿勢と呼ばれたりもしています。
X脚の人は、元々膝が内側に入っている状態で左右の膝の間の距離が近くなっている状態のため、当然スクワット動作でも膝が内側に入りやすくなります。
X脚は、生まれつき骨の形状などの影響で構造的な要因として起こる場合も多いです。
そのため、構造的な要因の影響が強い場合には、X脚を改善・修正することは難しい場合があります。
》 ⑤足の土踏まずが潰れている(扁平足)
足の土踏まずが潰れている状態のことを扁平足と言います。足の土踏まずが潰れた状態になると、それに連鎖するようにスネの骨(脛骨)も内側に捻れて、さらに連鎖的に太ももの骨(大腿骨)も内側に捻れやすくなります。
結果的に膝が内側に入ってしまう状態(ニーイン)になります。
扁平足にならないためには、足の土踏まず部分のアーチ(内側の縦アーチ)を維持するための運動やエクササイズを実施することが大事です。
一見、関係のないように感じる人も多いかもしれませんが、膝が内側に入る原因は、膝自体にないことがほとんどで、股関節や足首に根本的な原因が隠されていることも多いのです。
》 ⑥フォームが間違っている
カラダの機能的な問題、構造的な問題がなくても、そもそものスクワットのフォームが間違っていることが原因で膝が内側に入るケースも少なくありません。
フォームが気になる方は、スクワットを実施する際のポイントを簡単にまとめているので是非参考にして実践してみて下さい。
実施する際のポイント
①足は肩幅くらいに開く
②つま先は少し外側に向ける
③つま先と膝は常に同じ方向に向ける
④しゃがむときは椅子に座るイメージで
⑤立ち上げるときは母趾球・小趾球・踵でしっかり床を踏む
》 正しいフォーム実践手順・ポイント
スクワット(自重)
スクワットは、下記の順序で実践していきます。
①足は肩幅くらいに開く
②つま先は少し外側に向ける(約20-30°)
③下にしゃがむ(足首・ひざ・股関節を曲げる)
④立ち上がる(足首・ひざ・股関節を伸ばす)
基本的な実践の流れは上記の通りです。膝が内側に入らないようにするためには、基本的な実践の流れに加えてポイントを押さえることが大事です。
①足首・ひざ・股関節は同時に曲げる(トリプルフレクション)
②足首・ひざ・股関節は同時に伸ばす(トリプルエクステンション)
③つま先と膝は常に同じ方向を向く
④上半身(背骨)は真っ直ぐに保つ
⑤立ち上がるときは足裏で床を力強く押す
⑥しゃがむときは椅子に座るイメージ
細かいポイントでいうと、他にもありますが、まずは今お伝えした6つのポイントを押さえてみてもらいたいです。とくに「③つま先と膝は常に同じ方向を向く」は、膝が内側に入らないようにするために非常に大事なポイントです。
》 バックスクワット(バーベル)
》 正しい動きのスクワットで下半身を強化!
スクワットはトレーニングの中でも王道種目のひとつで多くの方が実践されています。
「膝が内側に入る」「膝中心の動きになっている」「腰・背中が丸くなっている」など…一般的に身体の一部に過剰な負担がかかってしまうフォームで続けるのは危険です。
今回お伝えした正しいスクワットのやり方・実施時のポイントを踏まえた上で取り組むようにしましょう!